2010年11月8日月曜日

霜月八日

先週金曜日は、いわゆる学祭のため、仕事はお休みである。
有休をもらえない身では、平日の休みというのは貴重である。まぁ、金が入らないことには変わりないが。

というわけで、人文研へ赴いた。
目的は『清塩法志』のコピー。先日から進めている四庫全書所収の地方志に記載された塩政史料と比較するためである。
以前にも書いたが、四庫全書の史料は、おおむね康煕末年から雍正年間頃、17世紀末から18世紀初め頃の情報を記載している。で、『清塩法志』は19世紀後半以降、清末の情報を記載している。
この両者の行塩数を比較し、大きな変化が見られないなら、清朝は清代中期以降の人口増加に伴う塩需要の増大に積極的な手を打たず、その分を私塩に委ねていたということになる。

そのことにどういう意味があるのかというと、清の財政構造は、需要に対して柔軟に供給を増やせるようにはなっていなかったということが言えるわけである。少なくとも財政の三割から五割程度を占める塩政においては。
安定期なら問題ないが、財政需要が増えてきたとき、それに対応できずに王朝が滅亡したのではないかというのが、立証しようとしている仮説である。
そしてそういう硬直した財政構造は、明と清という近世中国の王朝が共通して持つ性質ではないのかというのが、その先の話である。
まぁ、結論ありきで研究を進めているわけではないし、近世中国の財政が塩政だけで構成されているわけでもないので、先は長い。


まー、週末から今日にかけて、そのコピーで何か仕事をしたわけではないので、ダメな感じだねぇ。
ちなみに酒に溺れながら何をしていたのかというと、M&BとICと……加えて、裁断した図書をScansnapで読み込み、色々と。
Kindleは白黒しか読まないので、カラーやグレースケールだと表示できない。白紙部分の閾値を上げてグレーを落とし、文字部分のガウス値を上げて補正すれば上手く行きそうな気もするが、古い本だと白紙が黄変しているのでY値を落とすよう補正せねばなるまいのだろうが、Photoshopを持っていないのでそんなこと出来ないし(GIMPでできるかもしれないが)、基本的に文字が読めたらそれで良いので、白黒で良かろうと思う。

この結論にたどり着くまで、ずいぶん試行錯誤した。一般に600dpiが自炊業界の標準解像度だが、S1500の白黒だと1200dpiというものまで試せる。
で、試してみたのだが、あまり差はなかった。容量がでかくなった分、頁めくりが遅くなったので、かえって使い勝手が悪い。電子インクを使うKindleはレスポンスが遅いという宿命があるため、頁めくりの遅さはかなり都合が悪い。
結局、スーパーファインモードを使い、表紙部分(および巻頭に挿絵類があるならそこも)のみカラー(300dpi)で撮り、本文は白黒(600dpi)ということにした。量の少ないカラー頁ぐらいは600dpiでやっても良かったかもしれない。

で、そうして出来たPDFファイルにChainLPを当てて余白部分を切り落とす。これをやると頁のサイズがまちまちになるのだが、余白の分だけ頁が小さくなったことで、相対的にズームされて読みやすくなる。
もう少し細かく設定すれば均等な寸法でトリミングできるのだろうが、面倒なのでそこまで調べていない。

職場でリポジトリ作業を担当していることもあり、こういう作業と仕事とが頭の中で連動するようになってくる。主務担当の同僚も同じ事を言っていた。
まぁ、無駄にはならない経験だろう。もうしばらく色々と試してみたいところである。

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